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トの働きにより冷却水を設定した一定の温度になるまでは船外に出さず内部を循環させ、水温を設定温度に保つようにしたものである。これにより過冷却によるエンジンのトラブルを解消することが出来る。
尚温水戻し管の途中に水量調節弁を入れ手動により温度調節を行っているものもある。海水は55℃を越えるとガルシューム分が折出し冷却が悪くなるので、それ以上にならないよう注意が必要である。

 

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2・98図海水冷却経路の一例
(2)清水冷却
清水冷却方式は2・99図に示す如く、シリンダ本体、シリンダヘッド、排気集合管、等については予め注入した清水と、清水タンクに貯えた清水を循環して冷却し、熱くなった清水は熱交換器(清水冷却器)を使用して海水により冷却し、海水側に熱交換を行う。清水の温度は自動温度調整弁により清水冷却器を流れる清水の量を調整して常時85℃前後に保っている。
海水は海水ポンプでキングストンコックより吸い込み、海水コシキ、海水ポンプ、清水冷却器、潤滑油冷却器、空気冷却器、を経て船外へ排出される。尚空気冷却器には清水で冷却したものもある。
清水冷却方式は海水冷却方式に比べると、構造が複雑になる他清水系統のメンテナンスが必要となるが、
?恒高温冷却のため冷却損失が減少して熱効率が向上する。
?燃料中の硫黄に起因する硫酸腐食が少なくなり、特にライナー内面の摩耗が少なくなり耐久性が格段に向上する。
?恒高温度での運転が継続できるため熱変形、熱歪が少なくピストンとライナの隙間を少なくする事ができ性能向上が図られる。
?海水による腐食などのトラブルが少なくなる。

 

 

 

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